活動報告 福岡市早良区 市議会議員 大森一馬

平成24年9月議会 生活保護について

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大森一馬
平成24年度予算において、生活保護費は約780億円、一般会計予算の10.2%を占め、本市の最重要課題となっていると考えております。
また、本年4月頃から、芸能人の扶養義務がマスコミ等において大きく取り上げられ、生活保護制度が注目を浴び、誰もが関心を持つ大きな課題と認識されるに至っております。
そもそも、生活保護制度は、憲法が保障する健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度として、昭和25年から現在まで、その時々の社会情勢に応じて、運用されながら、我が国の社会保障制度の中でとりわけ重要な役割を担ってまいりました。
しかしながら、現在、少子高齢化や経済不況に伴う、雇用情勢の悪化など、社会環境は大きく変化しており、セーフティネットとしての生活保護制度もそのあり方が問われているところであります。
平成20年秋に、いわゆる「リーマンショック」が起こり、大変な経済不況に見舞われ、その年末にはいわゆる「年越し派遣村」のニュースが大きく報道され注目を浴びておりました。
リーマンショック以後の経済不況によって、派遣労働者などを中心に失業者が増加し、職を失うと同時に住宅を失う方も増加し、再就職もかなわないため、最終的には、いわゆるホームレスになってしまったという方も多くいたようです。
そういうホームレスの方などに対して、救済するなどと称して、住居を斡旋し、生活保護を受給させた上で、受給者の預金通帳と印鑑を預かる。しかも、その住環境や食事は劣悪で、中には、部屋同士の行き来や私語も禁止し、不満を口にすると、暴言などを浴びせ、威圧し、管理して追い込む、いわゆる貧困ビジネスも社会問題化しています。
そこで、こういった、いわゆる貧困ビジネスの存在が他都市などで報道されておりますが、このような事例について、本市では、確認されているのでしょうか。

また、貧困ビジネスに関連して、生活保護受給者が利用し、住宅の提供以外に何らかの料金を徴収している施設で法的位置づけのない施設の状況調査を厚生労働省が実施しているようですが、本市の調査結果を教えてください。

また、このような劣悪な環境の施設に入居している場合の救済策として、どのようなものがあるのでしょうかお尋ねします。

福岡市
本市では、現在のところ、ご指摘のような事例は確認されていない。
生活保護者が利用している、社会福祉各法に法的位置づけのない、高齢者専門住宅や高齢者、ホームレス、アルコール依存症などを対象とした施設の状況調査を本省の指示で平成22年6月に行っており、その結果、対象施設は19施設あり、非保護者267人が入居。〈保健福祉局〉
住居と有償の生活サービスをセットで提供する事業に対して、届出義務の創設など、事業の適性な運営の確保や入居者の処遇を図る議員立法が検討されている。
未届施設や無料低額宿泊所に居住する者について、住環境が著しく劣悪な状態であることが確認された場合については、より適切な他の施設や住居への転居を促し、転居する場合には敷金や移送費を支給
また、非保護者が施設側からの圧力を感じ、本音が出せないことが危惧される場合においては、福祉事務所で状況を確認するなど、面談の工夫を行うなど配慮している。

大森一馬
生活保護の増加について見てみますと、リーマンショック前の平成19年度と現在を比較しますと、平成19年度の平均の生活保護世帯数が19,118世帯、保護率が19.14パーミル(‰)であるのに対し、平成24年7月末は30,913世帯、28.64パーミルと、約12,000世帯、9.5ポイントほど増加しています。
増加の原因を分析してみると、世帯別では、「失業」や「求職」を理由とする、特に就労阻害要因がない人が多く含まれる「その他世帯」の割合が9.2パーセントから21.2パーセントと12ポイントも急増しております。
私は、現在の生活保護制度の大きな課題の一つは、「その他世帯」の急増であり、働ける方は働くよう、その自立を援助することが必要であると思います。
本来、働く事ができる健康状態であるにもかかわらず、仕事が見つからないなどの理由で収入を得る事ができないため、やむを得ず生活保護を受けておられる方々については、生活保護を受給している不本意な状態を早く脱し、一日でも早く仕事につき、自立した生活を送っていただくことが必要であります。
そこで、働くことができる年齢や健康状態であるにもかかわらず、何らかの事情によって働いていない方に対して、本市はどのような支援を行っているのか、お尋ねします。
さらに、生活保護制度のもう一つの大きな課題として、私は、「貧困の連鎖」があると考えております。
生活保護を受けて育った子どもが成長し、社会に出ても、結局は生活保護を受けるようになってしまうことが多いと聞きます。
道中 隆(みちなか りゅう)関西国際大学教育学部教授による、ある都市での調査によりますと、生活保護世帯の1割の390世帯をランダムに抽出したところ、最終学歴が中卒だったという世帯主が72.6%、生活保護を受けて育った世帯主も25.1%だったという調査結果があります。
生活保護の過程に育ったことで、大人が働いて家計を維持するという通常の生活のイメージが持てないという、決して本人のせいとは言い切れない部分も原因としてあるでしょう。
また、学歴の問題にしても、現在の義務教育は中学までしかありませんが、制度では、中学を卒業したら働くという一昔前の発送は、現在ではどこにもなく、ほとんどの生徒が高校などに進学しているのが現状です。
そこで、高校進学率を見てみますと、平成24年3月の本市の中学卒業生の高校進学率は、市全体で98.2%であるものが、生活保護世帯に限っては88.0%と、やはり残念ながら10ポイントほど差が生じております。
高校進学は、今後の人生を考えて行く上で、大変重要と考えており、世代間の「貧困の連鎖」を防止するためにもこの時期から適切な支援を行うことが必要ではないかと考えております。
そこで、生活保護受給世帯で、義務教育を受けている児童・生徒やその世帯に対し、どのような支援を行っておられるか、お尋ねします。

福岡市
本人の状況に応じて、ハローワークOBの就労支援相談員による就労支援や就労意欲喚起事業として、専門のカウンセラーが就労意欲を喚起し、就労達成、定着まで一貫した就労支援などによる支援を行うとともに「福祉から就労」支援事業によるハローワークと連携した就労支援を行っている。〈保健福祉局〉
子どもの健全育成支援事業 一人親世帯を対象にこの養育・就学等に課題がある場合に生活や教育に関する支援
高校進学支援プログラム 中学3年生の子及びその親に対して、進学費用の準備や学習環境の確率など高校進学への意識を高める等の支援

大森一馬
生活保護法第1条では、生活に困窮する全ての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とすると規定してあります。
私は、高齢者や傷病者、障害者世帯などが抱える問題も決して見過ごせる問題ではないと考えておりますが、リーマンショック以降に、全く社会状況が変わってしまった現在では、生活保護を取り巻く問題のうち、就労の問題とこどもの問題がとりわけ重要性が高まっていると感じております。
生活保護の最終的な目的は「自立の助長」です。先ほどから後答弁いただいているように、働ける世代・その他世帯に対する支援や、子どもの健全育成に関する支援に取り組まれている事は確認できました。
しかし、私は、今の生活保護の状況からみて、もっと、幅広く、そして保護者の実情に合わせてきめ細やかな支援を展開していかなければならないと思いますが、ご所見を伺います。

福岡市
受給者の就労や「貧困の連鎖」の防止の取り組みについては、就労支援や子どもの健全育成や高校進学率の向上など、生活保護制度を取り巻く全市的な課題であり、ハローワークはもとより各局とも連携を図りながら、今後とも受給者の実情に合わせてきめ細やかな支援を展開していく。

~ 大森一馬 − 2012年12月26日 ~

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