活動報告 福岡市早良区 市議会議員 大森一馬

令和2年第6回定例会(第4日)

◯(大森一馬)
 私は自由民主党福岡市議団を代表して、ひとり親家庭への支援について、野良猫問題について、国際金融センター誘致について、以上3点についてお尋ねいたします。
 まず、ひとり親家庭への支援についてお伺いいたします。
 今般のコロナウイルス禍で、ひとり親家庭を取り巻く状況は一段と厳しさを増しているところですが、国においては、今年度の第2次補正予算でひとり親家庭への臨時特別給付金が予算措置され、本市でも8月から児童扶養手当の受給者をはじめ、順次対象となるひとり親家庭に臨時特別給付金が届けられているところであります。しかしながら、現在、全国的にも新型コロナウイルス感染症の第3波の流行が押し寄せており、その終息が見通せない状況にあることから、国において、ひとり親家庭への臨時特別給付金の再支給が閣議決定されている状況です。平成28年度の福岡市ひとり親家庭実態調査では、母子家庭が2万377世帯、父子家庭が2,304世帯あり、約3万3,300人の子どもたちがひとり親家庭で養育されていると推計されていますが、2019年度の国民生活基礎調査によると、ひとり親家庭の子どもの貧困率は48.1%と、全体の子どもの貧困率13.5%に比べ著しく大きくなっており、昨今のコロナ禍により、ひとり親家庭に与える影響は今後ますます深刻な状況になりかねないと危惧しております。
 そこでまず、本市のひとり親家庭への支援内容についてお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、以降は自席にて行います。

◯こども未来局長(久田章浩)
 ひとり親家庭への支援につきましては、日常生活支援事業などの生活支援、自立支援プログラム策定事業などの就労支援、児童扶養手当などの経済的支援、養育費確保のための支援、母子生活支援施設での支援などがございます。以上でございます。

◯(大森一馬)
 ひとり親家庭への支援は就労支援や経済的支援などを行っているとのことですが、本市のひとり親家庭の収入状況についてお尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 福岡市のひとり親家庭の収入状況につきましては、平成28年度福岡市ひとり親家庭実態調査によりますと、平均年間収入は母子家庭が251万5,000円、父子家庭が489万5,000円となっております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 母子家庭の平均年収は父子家庭の平均年収の約半分となっていますが、母子家庭と父子家庭の就労状況の違いが影響しているのではないかと思われます。
 そこで、本市のひとり親家庭の就労状況についてお尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 福岡市のひとり親家庭の就労状況につきましては、平成28年度実態調査によりますと、仕事を持つ人の割合は母子家庭が86.8%、父子家庭が90.6%となっております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 母子家庭、父子家庭ともに約9割が就労していると回答しているとのことで、就労している割合は母子家庭と父子家庭で大きな差はないことが分かります。
 それでは、母子家庭、父子家庭、それぞれの就労による手取り収入額についてお尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 就労による1か月当たりの平均手取り収入額につきましては、母子家庭が約15万7,000円、父子家庭が約27万2,000円となっております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 今お答えいただいたように、手取り収入では母子家庭と父子家庭で月額10万円以上もの差があります。
 それでは、母子家庭の収入は父子家庭に比べてなぜ低いのか、その要因をお尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 母子家庭の収入が低い要因につきましては、平成28年度実態調査によると、母子家庭は父子家庭に比べ正規雇用の割合が低くなっており、このことが主な要因であると考えております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 母子家庭は父子家庭に比べ正規雇用の割合が低いことが主な要因とのことです。
 それでは、そもそも本市にはひとり親家庭の就労を支援する施設はあるのでしょうか。

◯こども未来局長(久田章浩)
 福岡市では、ひとり親家庭の就労に関する相談や支援を行うひとり親家庭支援センターを設置しております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 ひとり親家庭支援センターではどのような就労支援を行っているのか、お尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 ひとり親家庭支援センターでは、専門の就労相談員による相談や、資格の取得や技能の習得に向けた各種講座の開催、自立目標や支援内容を設定し、継続的な支援を行う自立支援プログラムの策定などによる就労支援を行っております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 ひとり親家庭支援センターで様々な就労の支援を行っていることは分かりましたが、コロナ禍の影響で就労をめぐる環境は悪化しております。今後とも、コロナ禍を見据えた就労支援の充実を求めておきます。
 次に、仕事を持つひとり親家庭にとって必要なのは、子育てと仕事の両立のための支援です。
 福岡市ではこれまで保育サービスや留守家庭子ども会など、仕事と子育ての両立支援の充実が図られてきましたが、ひとり親家庭で仕事上の都合で一時的に子どもを養育できない場合に利用できる施策はあるのか、お尋ねいたします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 ひとり親家庭が一時的に子どもを養育できない場合に利用できる施策につきましては、支援員を派遣して生活援助や保育サービスを行うひとり親家庭等日常生活支援事業や、育児疲れや仕事上の都合などにより家庭で子どもを養育できない場合に施設等で短期間子どもを預かる子どもショートステイなどがございます。以上でございます。

◯(大森一馬)
 一時的に子どもを養育できない場合に、施設等で短期間子どもを預かる事業として子どもショートステイがあるとのことですが、子どもショートステイはどのような施設で行われているのか、お尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 子どもショートステイにつきましては、市内3か所の児童養護施設、市内2か所の乳児院及び子ども家庭支援センターに登録している里親等に委託して実施しております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 それでは、子どもショートステイにおけるひとり親家庭の利用状況についてお尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 ひとり親家庭による子どもショートステイの利用状況につきましては、令和元年度に子どもショートステイを利用した児童延べ571人のうち439人がひとり親家庭の利用となっております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 令和元年度はショートステイを利用した児童の8割近くがひとり親家庭の利用とのことですが、ひとり親家庭の利用について理由別の内訳をお尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 ひとり親家庭が子どもショートステイを利用した理由につきましては、令和元年度では育児疲れが193人、仕事上の都合が132人、疾病が65人、出産が24人、その他が25人となっております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 育児疲れに次いで、2番目に仕事上の都合で利用される方が多くなっていますが、具体的にはどのような場合に利用されているのか、お尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 仕事上の都合につきましては、具体的には夜勤や出張の場合などでございます。以上でございます。

◯(大森一馬)
 子どもショートステイがひとり親家庭の子育てと仕事の両立にも一定の役割を果たしていることが分かりましたが、子どもショートステイは短期間の預かりです。
 それでは、ひとり親家庭が一定期間入所して支援を受けられる施設はあるのか、お尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 ひとり親家庭が一定期間入所して支援を受けられる施設につきましては、生活や経済上の困難を抱える母子家庭が入所できる母子生活支援施設を市内に2か所設置しております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 母子生活支援施設ではどのような支援を行っているのか、お尋ねします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 母子生活支援施設では、安心して生活できる住居の提供を行うとともに、母子支援員や少年指導員が相談に応じ、個々の家庭の状況に合わせた生活支援や子どもの養育支援、自立に向けた就労支援などを行っております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 就労先が見つかり、自立のめどが立って、母子生活支援施設を退所したとしても、生活が軌道に乗り、安定した生活を送ることができるようになるまでは時間がかかると思います。先ほどの答弁では、子どもショートステイの実施施設に母子生活支援施設は入っていませんでしたが、入所して支援を受けた施設で、退所後も子どもショートステイを利用し、引き続き支援を受けることができれば、よりスムーズに自立へとつながっていくのではないでしょうか。
 ひとり親家庭の仕事と子育ての両立のためにも、母子生活支援施設での実施を含め、子どもショートステイの受入先の拡充が必要と考えますが、今後の方向性について所見をお伺いします。

◯こども未来局長(久田章浩)
 子どもショートステイは地域の子育て家庭の育児不安や育児疲れなどに対応する在宅支援サービスであり、仕事の都合による利用も可能であることから、ひとり親家庭の仕事と子育ての両立支援にも有効な事業であると考えております。福岡市では、子どもショートステイの受入れ体制の確保に向け、令和2年度からNPOと共働して受入先を増やす取組も行っており、今後、母子生活支援施設も含め、多様な受入先の拡充を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 ひとり親家庭の仕事と子育ての両立支援については、ひとり親家庭の自立に向け必要な支援であり、保護者の育児疲れや仕事上の都合でも子どもショートステイが今後さらに有効利用できるよう事業の拡充を求めておきます。
 最後に、ひとり親家庭が安心して生活できる環境の中で、継続的な就労による収入を得ながら、自立して安定した生活を送れることは、ひとり親家庭の子どもたちの健やかな成長につながります。そのためにも、ひとり親家庭に対するきめ細かな就労支援や生活支援を行い、生活基盤が確立し、自立できるよう支援していくことが行政の役割と考えますが、今後のひとり親家庭に対する支援について市の所見をお伺いし、この質問を終わります。

◯こども未来局長(久田章浩)
 ひとり親家庭が安心して生活し、仕事と子育てが両立できる環境を整え、自立に向けて支援を行っていくことは重要な課題であると認識しております。今後とも、ひとり親家庭の自立に向け、生活や就労などを支援する様々な施策の充実や利用促進に取り組んでまいります。以上でございます。

◯(大森一馬)
 次に、野良猫問題についてお伺いいたします。
 昔も今も変わらず、犬や猫などペットを飼う方はたくさんいるようで、最近ではペットは人に癒やしを与えてくれる存在だと言われています。近年の少子・高齢化や核家族化など家族構成の変化により、家族の一員としてペットを迎える方も多く、中でも近年は空前の猫ブームと呼ばれているようで、飼育頭数も猫が犬を上回ったと聞いています。特に現在のコロナ禍においては、ステイホームやテレワークなどで在宅時間が増えたこと、感染防止のため人に会うことが制限されたこと、また、社会的なストレスが増加したことなどにより、さらに癒やしを求めて猫を飼育しようと考える人が増えているという話も耳にします。ところが、同じ猫でも飼い主がいない猫、つまり野良猫に対する人の考え方は様々で、野良猫を助けたいと思う方がいる一方、野良猫に何度も迷惑を受けたことで、野良猫を見るだけで不快に思う方もいると聞きます。猫を助けたい方も、猫で迷惑している方も同じ地域の住民であることから、町内としても対応に苦慮していると地元の町内会長から相談を受けたことがありました。
 そこでまず、野良猫の被害に困っている場合はどこに相談したらいいのか、お尋ねします。

◯保健福祉局長(舟越伸一)
 野良猫に関する相談につきましては、福岡市家庭動物啓発センターで受け付けております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 家庭動物啓発センターにおいて野良猫の苦情相談を受けているとのことですが、直近3年の苦情の件数とその内容をお尋ねします。

◯保健福祉局長(舟越伸一)
 苦情の件数につきましては、平成29年度は324件、30年度は319件、令和元年度は331件となっております。主な内容としましては、不適切な餌やり、ふん尿被害、臭気などでございます。以上でございます。

◯(大森一馬)
 中には感情的になられる方もいるでしょうから、相談を受ける職員の方々も大変だと思いますが、この野良猫に関する苦情相談に対して市はどのように対応を行うのか、お尋ねします。

◯保健福祉局長(舟越伸一)
 野良猫に関する相談につきましては、被害を減らすための方策として、猫の忌避剤の紹介や猫が嫌がる超音波を発生する機器の無料貸出しを行いますとともに、不適切な餌やりなど被害の原因者が特定できる場合には家庭動物啓発センターの職員が直接指導するなどの対応を行っております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 個別の相談に対してしっかり対応していただいていることは分かりましたが、野良猫問題については住民の方が町内会長に相談されることもあり、場合によっては町内会長が対応を求められることもあります。
 そこで、町内会など地域で野良猫問題を解決する方法は何かないのか、お尋ねします。

◯保健福祉局長(舟越伸一)
 地域で野良猫問題を解決する方法といたしましては、地域猫活動がございます。この活動は、地域が主体となり、野良猫の繁殖を抑制するために不妊去勢手術を施すとともに、餌やりやトイレに関するルールを設けて管理をすることで、野良猫の頭数と苦情を減らしていく取組でございます。以上でございます。

◯(大森一馬)
 地域主体の地域猫活動で野良猫の頭数と苦情を減らすことができるとのことですが、地域が地域猫活動を始めるに当たり課題はないのか、お尋ねします。

◯保健福祉局長(舟越伸一)
 地域猫活動を始める際には住民の合意形成を図っていただくことが重要となりますが、活動に対する様々な意見があり、合意に至らない場合があるということ、また、野良猫の不妊去勢手術の費用負担についても課題となっております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 それでは、その課題に対して市は何か対応されているのか、お尋ねします。

◯保健福祉局長(舟越伸一)
 住民の合意形成につきましては、家庭動物啓発センターが地域住民への周知や理解を得るための助言、調整を行っております。また、野良猫の不妊去勢手術につきましては、当初、原則1年間無償で実施をしておりましたが、令和元年度からは野良猫の手術が終了をしていない地域を対象に更新制度を導入し、継続して無償で不妊去勢手術の支援を行っております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 不妊去勢手術の無償実施は効果的な支援と考えますが、野良猫に不妊去勢手術を受けさせるために地域はどのようなことを行う必要があるのか、お尋ねします。

◯保健福祉局長(舟越伸一)
 地域におきましては、不妊去勢手術を行うための野良猫の確保と運搬を行っていただくとともに、野良猫を確保するためのおりなどの機材を用意いただいております。
 なお、野良猫の確保に当たりましては、実施方法の助言や支援ができる地域猫活動経験者や動物関係団体などのボランティアを紹介いたしております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 野良猫を確保するための知識や経験のある方が全ての地域にいるわけではありませんので、地域猫活動経験者や動物関係団体等の協力をいただけることは地域にとっても心強いものです。一方で、野良猫を確保する際の機材については、野良猫の不妊去勢手術が終了すれば使うことがありませんので、町内会ごとに用意するのではなく、市で貸し出すなどの対応を要望しておきます。
 次に、これまで市が地域に対して行ってきた地域猫活動への支援についてお尋ねします。
 支援の開始はいつからか、また、これまで支援された地域数及びその中で現在活動している地域数と活動を終了した地域数についてお尋ねします。

◯保健福祉局長(舟越伸一)
 活動への支援につきましては、平成21年度から実施をいたしております。また、令和元年度までに支援した地域は83地域で、現在も活動中の地域が39地域、活動を終了した地域が44地域となっております。以上でございます。
◯(大森一馬)
 活動を終了した地域が44地域あるとのことですが、活動を継続していくに当たって何か課題がありましたらお示しください。

◯保健福祉局長(舟越伸一)
 地域猫活動につきましては、活動者が転居するなど人手不足により活動を断念した事例もありますことから、活動者の確保が活動を継続するための課題であると考えております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 地域猫活動を継続していくためには人手不足など課題もあるようですが、町内会においても活動の中心となる役員の方は限られており、さらに、活動に対して熱心な役員がいなくなると活動に影響することが心配されますので、活動が継続できるような仕組みづくりを考えていく必要があると思います。
 動物愛護の観点からも、野良猫を排除する方法ではなく、コントロールすることで、猫に迷惑している方と猫を助けたい方が歩み寄られることが望ましいと思いますが、この質問の最後に、地域の野良猫問題に対して市として今後どのように取り組んでいくのか、所見をお伺いします。

◯保健福祉局長(舟越伸一)
 野良猫問題につきましては、その数を増やさないよう、まずは飼い猫の適正飼育や終生飼育に関する啓発を進めますとともに、地域住民と野良猫の共生を図る活動であります地域猫活動の支援等を推進してまいります。一方で、地域猫活動につきましては、取り組むことが困難な地域があるなど課題もありますことから、他都市の動向も注視しながら、より効果的な方策について検討をしてまいります。今後とも、人と猫の調和の取れた共生社会の実現を目指して、地域、動物関係団体、ボランティアとも連携し、動物愛護と適正飼育の普及啓発に取り組んでまいります。以上でございます。

◯(大森一馬)
 次に、国際金融センター誘致についてお伺いいたします。
 8月に西日本新聞で「国際金融センター 福岡、大阪に検討」との報道がありました。私は日本で国際金融センターといえば当然東京だと思っていましたが、報道によれば、政府はこれまで東京での国際金融センターづくりを目指してきたが、金融市場の災害リスクへの対応や昨今の新型コロナウイルス感染症の流行に伴う分散化の流れを見据え、戦略を転換したとのことでした。また、アジアに目を向けると、国際金融センターの一つである香港では、6月の香港国家安全維持法の施行により、これまでの高度な自治が後退していくと予測され、国際的な金融機関をはじめとした外資系企業の人材や資本が流出する可能性が高まっていると言われています。この点からも、今、日本が国際金融センターを目指そうとすることは大変意味のあることだと考えます。しかし、国際金融センターといっても、我々の市民生活にどのように関わるのか、よく分からないというのが実情です。
 そこで、国際金融センターとは何なのか、また、福岡市は何を目指し、どのような取組をしていくのか、考え方を質問していきたいと思います。
 まず初めに、そもそも国際金融センターとはどのようなものだと認識しているのか、お尋ねします。

◯総務企画局長(龍 靖則)
 国際金融センターにつきましては、法令等の明確な定義はございませんが、金融庁の令和2事務年度金融行政方針では、世界中から金融人材、資金、情報が集積する国際金融都市という記載がございます。また、みずほ総合研究所のみずほリサーチ2007年8月号によりますと、国際金融センターは、国際金融取引が活発に行われている金融、資本市場あるいはその市場がある都市を意味するとされております。これらのことから、国際金融センターとは、金融人材や資金、情報が集積し、国際金融取引が活発に行われている金融、資本市場がある都市や地域を意味するものと理解しております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 要するに国際金融センターは特定の建物などではなく、国際的にビジネス展開をしている銀行や証券会社、保険会社、資産運用会社などが数多く拠点を構える都市や地域のことだと理解しました。福岡市では、この国際金融センターの実現に向けて、9月に地元の産学官から成る推進体制、TEAM FUKUOKAが設立され、12月にも会合を開いたものと聞いています。今後、ここでの取組が大きな役割を果たすのではないかと考えます。
 そこで、TEAM FUKUOKAの設立の経緯とその活動状況についてお尋ねします。

◯総務企画局長(龍 靖則)
 TEAM FUKUOKAの設立経緯でございますが、政府が福岡や大阪を候補地として外資系金融機関や金融人材の誘致強化に乗り出すとの報道などを踏まえまして、地元経済界を中心に、国際金融機能の誘致に向けた機運が高まり、九州経済連合会会長、九州電力社長、福岡市長が発起人となって、9月29日に設立されたものでございます。
 次に、活動状況でございますが、TEAM FUKUOKAは産学官によるオール福岡の推進組織であり、会員が情報共有、交換を進め、それぞれの特性を生かしながら国際金融機能の誘致に向けて取り組んでいくことを目的としております。9月29日の設立以降、2回の幹事会が開催され、12月4日に開催されました幹事会では、福岡の目指す方向性や対応すべき課題、さらには、今後、各会員が目標の実現に向けて各自取組を進めていくことなどが確認されたところでございます。以上でございます。

◯(大森一馬)
 8月の報道から1か月というスピード感で、地元の名立たる企業のトップが集まってTEAM FUKUOKAを設立し、議論を重ね、先日には福岡の目指すべき方向の結論を出したというところを見ると、経済界としても、国際金融機能を誘致することの機運が高まってきているものだと思います。このような機運の高まりには期待が持てますが、世界には国際金融センターと呼ばれる都市が幾つもあります。イギリスのシンクタンクが発表している世界の代表的な指標で、国際金融センターインデックスというものがあり、これは半年に1度、世界の国際金融センターをランキング形式で発表しています。直近の2020年9月時点では1位はニューヨーク、2位はロンドン、3位が上海、4位が東京と、上位は名立たる大都市ですが、10位にスイスのチューリッヒ、24位にカナダのバンクーバー、27位にオーストラリアのメルボルンなど、福岡市と同様に、首都ではなく、また、人口規模からも大都市とは言えない都市が入っていました。しかし、福岡市は現在この指標に名前が挙がっていません。
 このような状況において、福岡市はどのような国際金融センターを目指しているのでしょうか、お尋ねします。

◯総務企画局長(龍 靖則)
 国におきましては、菅総理が、今月閉会した第203回国会の所信表明演説において世界の国際金融センターを目指すとし、報道機関のインタビューで、東京の発展を期待するが、他の地域でも金融機能を高めることができる環境をつくっていきたいと説明されております。また、イギリスのシンクタンクが発表する国際金融センターインデックスのランキングによりますと、主要国においては複数の都市がランクインしております。このような状況の中、日本が世界の国際金融センターを目指す上では、相次ぐ災害や感染症のリスクなどを考慮し、東京以外の都市においても国際金融機能を高めていくことが重要であると認識しております。
 福岡市におきましては、このような情勢を踏まえ、東京、大阪との同時被災を避けられる日本海側の拠点都市として、東アジアとの近接性や世界有数の住みやすくコンパクトな都市、国内有数のスタートアップ都市といった特性を生かしながら、先日のTEAM FUKUOKAの幹事会で確認された、資産運用業、フィンテック及びBCP対応業務といった福岡市と親和性が高い国際金融機能の集積を目指していきたいと考えております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 今答弁いただいたように、世界の主要な国では、首都や大都市のみならず、国際金融センターと言われる都市が複数存在するようですし、近年頻発する災害やパンデミックなどのリスクを考えると、政府でも検討されているように、センター機能は一極集中ではなく、日本国内に分散して配置されることが望ましいと思います。福岡市は東京や大阪との同時被災のリスクが低く、また、何といっても東アジアに最も近い、そして、世界でも評価が高いコンパクトで住みやすい都市、このような都市の強みは国際金融機能の誘致にも生かせるということだと理解いたしました。
 しかし、市民目線で見た場合、この国際金融センターが市民生活や地域経済にとってどのような効果をもたらすのかが最も重要であります。福岡市はアジアの拠点都市を目指し、これまでも外資系企業の誘致や国際的なビジネス交流の促進に取り組んできました。これらのことは、地域経済を活性化させ、雇用や税収を確保し、最終的には市民生活の質の向上につながることから取り組んできたものだと思います。
 今回の国際金融機能の誘致は、ある意味、これまでの取組の延長線上にある外資系企業の誘致だと思いますが、国際金融機能が集積することは福岡市の地域経済にとってどのようなメリットがあるのか、お尋ねします。

◯経済観光文化局長(天本俊明)
 福岡市の地域経済へのメリットについてでございますが、福岡市では、基本構想に世界中から人、投資、物、情報、そして夢が集まる、活力と存在感に満ちたアジアの拠点都市を目指すことを掲げ、本社機能やグローバル企業などの誘致に取り組んでまいりました。国際金融機能が集積することによって、世界中から優秀な人材や資金、情報が集まることから、雇用の創出や税源の涵養などが期待されるとともに、市内スタートアップ企業の成長や地場企業の海外進出などを大きく後押しするものとなります。さらには、国際競争力がある都市として、福岡市の国内外におけるプレゼンス向上にもつながるものと考えております。以上でございます。

◯(大森一馬)
 金融庁によると、日本が国際金融センターとして確立するための強みとして、生活物価、オフィスの価格の安さ、治安のよさなどが指摘されてきた一方、弱みとして、税金の高さ、英語による行政対応等の不十分さ等が指摘されております。また、ビジネス環境の充実、教育環境や外国語対応医療機関などの生活環境の充実など、様々な課題をクリアしていかなければならないと聞いています。国際金融機能誘致を目指し、TEAM FUKUOKAが設立され、福岡市においては早速10月に外資系金融機関の日本進出をワンストップでサポートするグローバルファイナンスセンターも開設しました。このように国際金融機能の誘致に向けて関係者が少しずつ動き始めたところだと思いますが、実現に向けてはまだまだ様々な課題に果敢に挑戦していく必要があると考えます。
 そこで最後に、国際金融機能誘致に向けた福岡市の考え方や意気込みについて市長に所見をお伺いし、私の質問を終わります。

◯市長(高島宗一郎)
 福岡市はこれまで本社機能や、また、グローバル企業などの誘致を積極的に進めますとともに、スタートアップ都市として、イノベーションや付加価値を生み出す都市づくりに取り組んでまいりました。今回の国際金融機能の誘致によりまして、こうしたこれまでの取組を大きく加速させていきたいというふうに考えています。
 産官学の推進組織でありますTEAM FUKUOKAにおきましては、福岡の強み、特徴であります豊かな自然と、また、充実した都市機能というものがコンパクトに整っているという生活の質の高さ、また、優秀な理工系の学生ですとかエンジニアの集積、また、東アジアにも大変近いということ、さらには太平洋側ということで東京、大阪、こうしたところとの同時被災のリスクが低いという地理的な優位性、こうしたものが福岡の強みとして挙げられております。そして、こうした強みを生かして、必ずしも立地としてニューヨークやロンドンのような大都市に限らないという資産運用業、それから金融とITですね、これを融合したフィンテック、そして、事業継続のためのバックアップ業務の分野、これは非常に雇用効果が高い分野ですね、これらをTEAM FUKUOKAが一体となって重点的に誘致していきたいと考えております。
 国際金融機能の集積によりまして、裾野が広いビジネスの進出、そして、付加価値の高い雇用の創出というものが見込まれまして、さらに、スタートアップ企業、また、地場企業のグローバル展開などもこうした国際金融機能が福岡に集積することによって期待されるわけであります。産学官が力を合わせて国際金融機能の誘致に取り組んで、福岡市におきましてグローバルな人材が活躍し、そして、継続的にイノベーションが生まれていく、そうした国際都市を目指してチャレンジを続けてまいります。以上です。

~ 大森一馬 − 2021年02月13日 ~

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